ビタミンK2は, 出血を止める因子の一つです。これが不足することで、まれに出血性の病気が赤ちゃんに起こることがあります。
ビタミンK2を飲ませずに、ホメオパシーという代替療法だけを行い、ビタミンK2不足による頭蓋出血で赤ちゃんが亡くなってしまったという痛ましいことが、山口県でありました。そのため、代替療法のありかたや、ビタミンK2について、各方面で話題に上りました。伊藤も、助産師会の助産所部会委員のはしくれとして、実態調査のお手伝いをしました。
この病気を防ぐために、生後1日目、生後5日目、1カ月目でK2シロップ1ccを10ccのさ湯で薄めたものをあげる・・・というのが、一般に行われています。
もちろん、当助産院でも、行っています。宮城県内、森のおひさま助産院でも、ははこっこ助産院でも行っています。
ビタミンK2は, 納豆やチーズといった発酵系食品や緑黄色野菜に多く含まれます。
母乳には、ビタミンKは、少ししか含まれないのだそうですが、ママが、納豆を食べると、母乳に含まれるビタミンKも、増えるそうです。
でも本来、ビフィズス菌などの腸内細菌が産生してくれるので、食品からとらなくても大丈夫なものです。
・・・・が、新生児ちゃんは、胎内で無菌状態。腸内細菌がまだ住み着いていないのです。最初にするウンチも、全く無臭。
ママとぺたぺた触れ合ううちに、ママや家族の健康な常在菌を獲得して、段々に赤ちゃんのお腹のなかにも腸内細菌が育ってきます。しかも、母乳にはビフィズス菌が大好きな、オリゴ糖がたっぷり入っています。
そして赤ちゃんのウンチは、ヨーグルトのような酸っぱいにおいがしてきます。ビフィズス菌が働いている証拠です。
新生児のウンチの原材料は、乳だけなんだから、いわば、乳製品!?
冗談は抜きにして・・、赤ちゃんとママが肌と肌で触れ合う、カンガルーケアは、こんなところでも役に立っているんだなあと改めて思います。
菌は早い者勝ちの法則があって、先に定着したものが、あとから来たものをはねのけるのだそうです。だから、生まれてすぐに、ママや家族の健康な常在菌を早くくっつけてもらうことがとっても大事なんですって。skin to skin の早期接触は、単なるスキンシップの心地よさの利点だけではないのです。
参考文献
「人体常在菌のはなし~美人は菌で作られる」 集英社新書
「もやしもん」 講談社
「もやしもん」は、菌好き(?)にはたまらん、マンガでゴザイマス。
仙台では、見れませんが、TVドラマやアニメにもなったらしい・・・。